第14回:プライシングの心理学 ――「安売り」が地域のブランドを毀損する理由

「公共のものだから安くしよう」。地域で何かを始める際、そんな声を聞くことはないでしょうか。しかし、良かれと思った安売りが地域の価値を下げ、大切な資源をすり減らしてしまうこともあるとわたしは考えます。今回は、体験に正当な対価を設定する「プライシング」がテーマです。価格というシグナルを使って、いかに需要をコントロールし、地域の未来を守っていくのか。その仕組みについて、少し考えてみます。
塚崎秀雄 2026.05.29
読者限定

【現在地:幸せの循環モデル】

第4部【経済】の2回目です。前回は、地域資源を「体験」としてパッケージ化し、高付加価値化する「経験経済」について解説しました。今回は、作り上げたその体験に、正当な対価を設定する「価格(プライシング)」の戦略について掘り下げていきます。ここには、行政特有の強い心理的ブロックが存在しているように感じます。

【発見】→【誇り】→【共有】→【経済】→【還元】

***

【前回の振り返り】

第13回では、大山の事例を元に、「夜の危険な軽登山」を、「プロと一緒に絶景を撮りに行く冒険」へと変え、0円の資源を2万2千円で提供される高付加価値な商品に変えられることをお話ししました。しかし、いざ有料化や値上げを提案すると、現場からは必ずと言っていいほど、ある種の声が上がります。「公共の施設だから安くすべきだ」「なるべく多くの人に来てもらいたいから無料にしよう」今回は、こうした「安売りの呪縛」を解き、適正価格と需要管理こそが地域の未来を守るのだという視点について、考えてみましょう。

※本連載は無料ですが、第二回からはメールでの登録が必要となります。また、メール登録をいただいた方には東京カメラ部から地方創生に関連するメールが送信されることがあります。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、3058文字あります。

すでに登録された方はこちら

読者限定
第17回:規範の設計 ――行動経済学によるインセンティブ論
読者限定
第16回:教育への還元 ――子供たちがカメラを持つと、なぜ「探究学習」...
読者限定
第15回:インバウンドが見ている「真正性」 ――飾らない日常は、最強の...
読者限定
第13回:経験経済 ――「モノ」ではなく「コト」を売る舞台装置
読者限定
第12回:SNS戦略のフローとストック ――「バズる」ことよりも「検索...
読者限定
第11回:ネーミングと「タグ」の魔力 ――名前は価値を検索可能にする
読者限定
第10回:受け入れ設計と時間のデザイン ――混雑を分散させ、撮影体験の...
読者限定
第9回:「フォトジェニック」と「インスタ映え」の決定的違い ――共感さ...