第17回:規範の設計 ――行動経済学によるインセンティブ論

観光客が増えればマナーの問題も生まれるもの。罰金や禁止の看板で抑え込もうとして、かえって逆効果になる事例が、行動経済学の世界には少なくありません。今回は太平洋の島国パラオが選んだ世界初の「誓い」の設計を手がかりに、ソフトな規範とハードな規制の組み合わせ方を考えていきます。
塚崎秀雄 2026.06.19
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【現在地:幸せの循環モデル】

ここからは【還元】を持続させるための「土台(ガバナンス)」の話に入ります。観光客が増えれば、必ずマナーの問題が生まれるもの。それを「禁止」の看板や罰金だけで抑え込もうとすると、うまくいかないことが多いのではないでしょうか。

【発見】→【誇り】→【共有】→【経済】→【還元】 ↻(還元の土台を守る)

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【前回の振り返り】

前回は、得られた収益を教育へ還元する話をしました。今回は、その美しい地域を守るための「ルールづくり」を、行動経済学の視点から考えてみたいと思います。

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「罰金」も「注意喚起」も、逆効果になりうる

ルール違反を減らすために、まず思いつくのは罰金や禁止の貼り紙です。ところが、その常識を裏切る実験がいくつもあります。

ひとつめは、罰金の話。カリフォルニア大学サンディエゴ校のウリ・グニーズィと、ミネソタ大学のアルド・ルスティチーニが、論文「A Fine is a Price」で報告したイスラエル・ハイファの保育園調査です。概要は、お迎えに遅刻する親が多く少額の罰金を導入したところ、遅刻はむしろ増えた。罰金撤廃後も、元の水準には戻らなかった。というものです。

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続きは、4054文字あります。
  • 事例分析:「禁止」ではなく「誓い」に託す ――パラオ・プレッジ
  • 国内の課題への応用 ――ソフトな規範とハードな規制の分担
  • 【今週のミニ処方箋】
  • 【次回予告】

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